くま社長閑話 Vol.382 「札大」
3月の終わりにFacebookのイベント招待なるものが届き開けてみると本日これよりライブあり、と云う大学時代の先輩からのご案内だった。
にゃんさんと呼ばれるその先輩は本当は北原さんと云い、当時(30年前)からとてつもないギターテクニックと特徴のあるハートウォーミングなヴォーカル、そして何と云ってもその呑みっぷりに誰もが敵わぬ大御所感と最後までフレンドリーな優しさを忘れなかった偉大なる先輩である。しかしながら練習に遅れあまりの怒涛の呑みにより意識不明意味不明最後は後輩の男子学生を触りまくると云う醜態を何度も見せる大魔神でもあった。
ご案内の通り北24条のjazz barにたどり着くと、にゃんさんは、いた。
演奏前の北原さんは、ひょっこり顔を出した私を見て、「げげげ、つ、釣れた。」とうれしそうな不思議そうな、なんとも云えぬ顔をした。
にゃんさんはFBでえさ無し、しかし大物が釣れた、などと仰っていたが、なに、えさはアンタだろ、とわたしは心の中でつぶやいた。
この「えさ」は、しかし、ハンパなかった。
30年の年月を僅か数秒に縮めてしまう、圧倒的なギター。
「げげげ、つ、釣られてよかったー。」と、わたしは心の中でそう、叫んだ。
アンコール含む終演後、「えへへへ、えへへへ。」とだみ声のにゃんさんはわたしを見ながらjazz barのカウンターで横並びになり、強いウイスキーをぐびっとやった。
わたしはその時、できれば少し早めに独りきりになりたい気持ちが心に充満してきた。
酒癖の最悪だったこの大師匠の30年前を思い出した防御本能、ではなく、余りに凄かった今宵の演奏をつまらない会話で忘れてしまいたくなかったからだ。
しかし、そうはならなかった。
つづく
2016-04-27 18:41
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